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Richard Mosse: The Impossible Image





 内戦が続くコンゴの現状は言葉で語るにはあまりに複雑だ。過去15年もの間、40以上の武装勢力が多様な利害関係の下、戦闘を繰り広げてきた。忠誠を誓う相手は次々変わり、明確な善悪の区別もない。残されたのは残忍で痛ましい犠牲の数々だ。日常の中に自動小銃があり、耐え難い暴力と貧困と病気が毎日続いている。1年間で発生したレイプは40万件、10年間の死者は540万人にもなる。







1980年にアイルランドに生まれた写真家のリチャード・モスは、アートとフォトジャーナリズムの両方の手法を用いて、イラク・コンゴ・ハイチ・日本の震災地など、世界中の問題や苦難をアートを用いて写し出し続けている。
通常のフィルムでは捉え切れない繁雑な現場を描くため、彼が選んだのは、被写体の反射率によって目に見える色とは別の色を発色させるカラー赤外フィルムという斬新な手法。
この特殊フィルムは、迷彩色で偽装された対象物を発見するため、米軍の依頼を受けて開発されたものらしく、肉眼では識別できないものが写真を通して見えるようになる。

これによって写し出されたのは、一面に広がる優しく美しいピンクの大地。
こんな色がもしも現実にこの場所に存在していたら、今のような長く苦しい、終わらない戦争は起こらなかったようにも思う・・。















Infra / Adam Hochschild
http://www.amazon.co.jp/Infra-Adam-Hochschild/dp/159711202X


Richard Mosse: The Impossible Image from Frieze on Vimeo.




Lust For Love by Nicoline Patricia Malina















ジャカルタをベースにファッション誌などで活動する女性フォトグラファーNicoline Patricia Malinaの写真&映像作品「Lust For Love」が、とても素敵で好みだったのでご紹介します。
ファッション誌の企画で作られたようですが、まるでウォン・カーワイ監督の新作シネマかと錯覚するイメージの作り方。
カーワイの映画同様、色気と想像力を掻き立てられるものがあり、じわじわと存在感を帯びる、そんな魅力のある写真に仕上がっていると思う。






Magnificent Macro Photos of Insect Eyes by Shikhei Goh













身近にあり慣れ親しんだものでも、見方を変えれば世の中は刺激で溢れている。
シンガポールの離島、バタム島と言う小さな島に住む写真家のShikhei Gohは、自分のことを「マクロ中毒」と言っている。
彼の作品は昆虫を中心とした超接近ショットが特徴で、まるで生き物とは思えないクールな色彩とフォルムに驚かされる。
思えば、昆虫ほど、不可思議なフォルムをもった生物はいないかもしれません。環境に適応し、変化してきたその形状はユニークそのもの。
もしこれが人間と同じサイズだったら、この世は色彩と驚愕に満ちたものになっていたと思う。


http://500px.com/shikhei




Visual video screening by TEN TO SEN

4月よりはじめたサロン内での映像上映も、そろそろ1ヶ月が経とうとしています。
お陰様で好評をいただいており、これからも皆様に楽しんでいただけるよう空間デザインを考えていきたいと思います。
密かに月曜日の夜に始まったサロン内イベントも面白く、公私共々楽しんでおります。
それでは、皆様今後共宜しくお願いいたします。












Melancholy of a lonely girl by Ahn Jun


2013年春、韓国の若手女性カメラマン、Ahn Junが発表した「セルフポートレート」シリーズの写真集が、ちょっとゾクっとする刺激的な作品に仕上がっている。
高層ビルの上などに立って賑やかな都市を見下ろす自身の姿が合成なしに(恐らく)撮影されている。
ビルの窓際や屋上の極などに立つ、ブルーのドレスに素足の細身の少女の姿(Ahn Jun自身)からは、何とも言えないエロスと不気味な不安さが
漂っていている。




























inc.『No World』



イギリスでダブステップが生まれ、そこから派生したポストダブステップとして近年ミニマルでダーク、刺激的な音楽を生み出し続けているロンドンのクラブシーン。
一方アメリカのクラブシーンでは、ビートを遅くしたビートダウンが増えつつあると同時に、近年ではR&Bを取り込んだアーティストが増えつつある。
そんな中、2013年3月に4ADからリリースされたL.Aを拠点に活動するinc.のファーストアルバム『No World』がとにかく素晴らしい。
サウンドは無駄な音は極限まで削ぎ落とされ、硬く非常にミニマル。その音の隙間から内省的なボーカルが聴こえてくる。
2013年インディ・ミニマル・モードR&Bとも形容できる大傑作だ。










CHANEL AUTUMN / WINTER 2013-14












CHANEL by Karl Lagerfeld



PRADA AUTUMN / WINTER 2013-14












PRADA by Miuccia PRADA




COMME des GARCONS AUTUMN / WINTER 2013-14
















Comme des Garcons by Rei Kawakubo
Hair&Make-up by Julian d'ys






FILM by ANDREW THOMAS HUANG









Andrew Thomas Huangはロサンゼルスに住む映像監督。南カリフォルニア大学で美術・アニメーションを専攻し、卒業。
絵を描くことや、ペイントに加え、実験的なアニメーション作り、ファッション、人形劇等が大好きだった彼は、徐々に映像の世界に導かれていく。
そして、これら全てに対する彼の興味が凝縮・最高潮に達した作品が、彼のショートフィルム”Solipsist(唯我主義者)”。
10分10秒の中の土欲的な小宇宙。一度見ると映像ファンは必ず心というか魂まで奪われてしまう素晴らしい作品でもあり、
この作品はCannes Lions(カンヌ国際広告際)におけるSaatchi & Saatchiの新監督ショーケースで上映され、Slamdance Film Festival(スラムダンス映画祭)では Best Experimental Short Film(短編実験映画賞)を受賞した。
受賞をキッカケにBjorkの目にとまり、彼女の新作のMVの監督に大抜擢。
(BjorkのMVと言えば、Spike Jonze、 Michel Gondry、Chris Cunningham、Stéphane Sednaoui等、錚々たる、その時代の世界の新鋭的ヴィジュアルアーティストとの仕事でも知られてます)
作品は、ロサンゼルス現代美術館でプレミア上映が行われ、その後世界的に高い評価を得た。
今後、2013年も間違いなく注目の映像作家であるAndrew Thomas Huangに大注目していきたい。